2017年7月28日金曜日

大腸がんや膵臓がんに有効な抗がん剤新薬の開発

「クルクミン」と呼ばれる成分が、大腸がんや膵臓がんの治療に有効とされ、 抗がん剤新薬としての開発が進んでいる。

期待の抗がん成分「クルクミン」は、「ウコン」に含まれている。 「ウコン」はカレーの黄色を出す香辛料の一種であり、別名ターメリックとして 有名だ。

この抗がん成分「クルクミン」は、今までも効能が注目されてきた。
しかし、大量に摂取しても有効成分の大半が排せつされてしまうために、 血液中の濃度が高められず、効果が出難いという問題があった。

そこで、京都大のチームが排せつされにくく、体内で有効成分に変わるクルクミンの化合物を合成 したのだ。これによって、有効成分の血中クルクミン濃度が従来の約1000倍に高まった。

そして、この京都大の掛谷 秀昭 教授(天然物化学)のチームが、 このクルクミン化合物でマウス実験をしたところ、がんの進行抑制に効果が確認 された。

マウス実験では、人の大腸がんを移植したマウス8匹にクルクミン化合物を注射 した。3週間後の結果として、治療していないマウスに比べて、クルクミン治療のマウスは腫瘍が半分以下に小さくなったのだ。しかも、副作用も確認されていない。

がん治療新薬の開発が期待されるクルクミンの成果は、日本臨床腫瘍学会で発表される予定だ。

2017年3月17日金曜日

テレビリモコンで がん治療!??

驚異の新がん治療法は、「近赤外光線免疫療法」(別名:光免疫療法)だ。

治療にテレビリモコンを使用するわけではなく、リモコンなどに使われている「近赤外線」を利用するのだ。近赤外線は人体に無害であるが、これもうまく利用することで がん細胞を壊す新たな治療法が世界中から注目されているのだ。

「近赤外光線免疫療法」の肝となるのは、がん細胞に接着する性質を待った抗体。この抗体に近赤外線を浴びると化学反応を起こす「IR700」という色素を付けて、予め体内に送り込むのが第一段階。すると体内でIR700が付いた抗体が がん細胞に届くと、がん細胞と結合してくれる。そこで第二段階として、その部位へ近赤外線を浴びせるのだ。赤外線を浴びせられたIR700が化学反応を起こし、付着していたがん細胞が死滅させる。

抗体が付着した がん細胞に光を当てるとIR700が反応することで細胞膜の表面が傷つき、膨らんだ風船がはじけるようにがん細胞が破裂してしまう。赤外線を照射してから破裂までの所要時間は「光の量」や「傷の量」で異なるが、約1万個のがん細胞なら1~2分ほどで破裂し、傷の少ないがん細胞でも5~10分ほどで殆どが破れて死滅する。

この治療法では赤外線照射で破壊されるのは抗体のついたがん細胞だけなので、正常な細胞は全く影響を受けないことが、この新がん治療法の最大の特色だ。

新治療法の治療期間は約2日間。これほどの短時間でも、がん細胞の大部分を消滅させ、転移がんまでも治すことが可能な画期的な治療法なのだ。

近赤外光線免疫療法によるがん治療を開発しているのは、日本人研究者である小林久隆氏。小林氏は、米国立がん研究所(NCI)で新治療法の臨床適用へと研究を進めている。

2017年2月22日水曜日

機能性表示食品にβグルカン成分が拡大

パン酵母や黒酵母、キノコ類、さらには大麦、オーツ麦などに含まれる多糖類群の機能性成分を指す「βグルカン(ベータグルカン)」。

欧米では食品の機能表示が先行していたため、2000年代から米国のアメリカ食品医薬品局(FDA)や欧州食品安全機関(EFSA)が、「冠動脈疾患リスク低減」、「コレステロールや血糖値の上昇抑制」に関して、の高い機能性があることを紹介していた。

特に純度が高いパン酵母由来のβグルカンβグルカンに関しては、「免疫サポート」「抗がん剤の副作用低減」など多岐にわたる機能性が注目され、各種研究機関による多くのエビデンス(検証結果の証拠)が広く認知されている。

日本国内でもようやく始まった「機能性表示食品制度」では、大麦由来βグルカンを関与成分とした商品の「コレステロール低下」の機能性が訴求され、大塚製薬やはくばく、永倉精麦などがで届出て商品が販売されている。

以降、スーパーマーケットなどでも“大麦βグルカン”の文字が並ぶようになり、「βグルカン」が消費者の目に触れる機会は急激に増加した。

このような状況下に、パン酵母系のβグルカンを取り扱う企業の中には、「免疫領域」での届出を目指す動きが出てきたことは特筆されるべきだろう。パン酵母のβグルカンの歴史は案外と古く、「生体防御機能」や「腸管免疫機能」に関連する機能性研究が数多く実施されているのだ。

「機能性表示食品制度」においては「免疫」に関しての直接的な表現は難しいため、「抗疲労」や「抗ストレス」などの表現が模索されている模様だ。

このようなβグルカン(ベータグルカン)の機能性表記が許可されたならば、これを追い風に、βグルカンの市場拡大が拡がることで利用者の拡大が見込まれている。

がんに効く機能性表示食品」が流通する日も近いかもしれない。

2017年2月15日水曜日

がんの最新治療法「光免疫療法」

光免疫療法とは、がん細胞だけに付着する色素を導入した抗体を投入しておき、体外から近赤外線の照射することでがん細胞だけを破壊する新しい治療法だ。

近赤外線は無害であり、正常細胞が痛まないことから、副作用も無い。

米国のアスピリアン・セラピューティクス(カリフォルニア州)が開発中で、この新治療法を活用すれば、正常細胞を損ねることなく、転移したがん細胞までも破壊できる。

副作用が少なく、有効性の高いがんの新治療法・新薬の早期開発に期待が高まっている。

2016年3月22日火曜日

胃がんの原因となる細菌とウィルスを世界初解明

胃がん発病の主原因の疑いが大きかったピロリ菌が出す有害物質が、特定された。
さらに、その有害物質の発ガン活性を抑制する物質と、このがん抑制物質を邪魔してしまうウィルスも発見された。

ピロリ菌が出す発がん性物質は「タンパク質CagA」。
この発ガン物質CagAはピロリ菌によって産出され、胃の細胞内に注入されることで、
胃がんが発症する原因となる。しかし、酵素の一種である「タンパク質チロシンホスファターゼ(SHP1)」が胃の中にあれば、発ガン物質CagAの発ガン活性が抑制されるのだ。

しかし、この酵素SHP1のがん抑制機能も、「EB ウイルス(エプスタイン・バール・ウィルス)」というウィルスが存在すると、働きが鈍くなってしまう。

胃がんを予防・抑制するためには、「ピロリ菌」を除菌し、「EBウィルス」を駆逐することが有効であると判明した。

胃がんの発症に際して、がん細菌と発がんウイルスが連携している事実を解明したのは世界初で、東京大学と千葉大学による共同研究の成果とのこと。

近い将来に有用な胃がん予防薬や治療薬へ応用されることが期待される。

2016年2月16日火曜日

最新の すい臓がん治療法

すい臓がんの、しかもステージ4末期のすい臓がん患者を治療できる新しい治療法の臨床試験が日本でも開始されている。

すい臓がんの新しい治療法は、『ナノナイフ治療』(別名:不可逆電気穿孔法)。
体外から がん患部へ針を刺し、針の先端に短時間だけ3000ボルトの電流を通電させる治療法だ。

治療対象のすい臓がんは周辺の胃や十二指腸などの臓器が入り組んでいることが旧来法の手術を困難にさせていた。

しかし、ナノナイフ治療では身体表面から超音波画像で探りながら、胃や十二指腸を貫通してがん患部へと針を通すのだ。がん患部に取り囲むように設置された治療針の先端に電気を短時間だけ流す。電気が流れるのは針の先端1.5cmだけで、対になったプラスの針の先端からマイナスの針の先端へ3000ボルトの高電圧で1回あたり1万分の1秒という短時間だけ電気が流される。

この通電を80回から160回行うと、がん細胞にナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の穴が開くことで、中の細胞質が溶け出しがん細胞が死ぬのだ。

既に実施された末期のすい臓がんの治療結果は8例中6例でがんが縮小する成果が得られた。

先行する米国でのナノナイフ治療は 当初は肝臓がん治療に治療されることから始まった。その後拡張されたすい臓がん治療例は200例を超えており、50例でがんが縮小し手術が可能となった。残る150例でも生存期間が2倍となる効果が確認されている。また再発率が3%と低く、すい臓にがんを留める効果(局所制御能)も確認されている。

末期のすい臓がんでも治療が可能な『ナノナイフ治療』は、日本では東京医科大学が臨床試験を進めている。

近い将来には、肝臓がん、すい臓がんの治療に留まらず、肺がんや前立腺がん、腎がんの治療へと適用対象が拡大が見込まれる。末期すい臓がんでも治療法はあるのだ。

2016年1月29日金曜日

スマホやパソコンでできる がん検診

 息を吹きかけるたけで、(がん)や糖尿病を診断できる高精度センサーが開発され、2022年には実用化される見通しとなった。

「息の臭い」に含まれている微量の物質を高精度で判別できる小型センサーが開発されたのだ。センサーは「数ミリ四方の小さいチップ」で、搭載された「膜」が呼気の特徴を検知し、がん患者の呼気に含まれている『特有の物質』の有無を検知することで、がんの診断をする仕組み。センサーを含む部品が汎用化されれば、スマホやパソコンなどの周辺機器やアクセサリーとして利用することも可能になり、個人が簡単にグラフや数値でがん検診が可能となる。

「小型がん検知センサー」は国立研究開発法人の物質・材料研究機構(NIMS、茨城県つくば市)が中心となって開発し、京セラ、NEC、住友精化、大阪大、スイスの精密機器メーカーと合同で実用化を進めている。

がん検診が非常に手軽に個人でできるようになるため、がん抑制対策として非常に期待が大きい。